多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

女性も少量の男性ホルモンが卵巣や副腎から分泌されていますが、過剰に分泌されると排卵が障害されます。これを多嚢胞性卵巣症候群PCOS)といいます。
多嚢胞性卵巣症候群では卵巣が少し腫大化します。
卵巣の表面がかたくなっているために、
卵子が成熟しても卵巣の皮を破って出てくることができません。
発育しても排卵できない卵胞が次々に卵巣内にたまり、卵巣が腫れてきます。
超音波でみると、小さな卵胞が無数にみえるのが特徴です。
また、月経異常、肥満、多毛などの症状も特徴です。


■症状
多嚢胞性卵巣症候群にみられる最も多い症状は、月経の異常です。
異常の程度はさまざまで、続発性無月経、無排卵月経、
単に月経周期が長いなどがみられます。

月経異常   92%
不妊     99%
多毛     23%
男性化    2%
肥満     20%
症例数   424例


■治療
PCOSの治療には薬物療法と手術療法の2つの方法があります。


●手術治療
腹腔鏡で卵巣の表面を電気メスやレーザーで焼き自然に排卵しやすくします。
この方法で自然に排卵する率は20%とやや低率ですが、クロミフェン、HMGを併用した場合の妊娠率は高くなり、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生率は低くなります。
しかし、半年ほどするとまた元通りになってしまい、手術効果は半年〜1年しか持続しません。

●薬物治療
クロミフェン
 排卵誘発剤を用いて卵胞の発育を促します。
クロミフェン+プレドニン
  クロミフェンにプレドニンを併用する方法です。
副腎性のアンドロゲン:DHEA が高い症例では、副腎という組織から分泌される男性ホルモンが増加して、症状を悪化させることがあり、これを抑えるために副腎皮質ホルモンであるプレドニンを少量使用することで卵胞成熟を促進させます。
★ FSH+HCG
クロミフェンで排卵誘発に不成功な症例、あるいは排卵はするがなかなか妊娠に至らない症例ではこの療法を用います。
★メトフォルミンの服用
インスリン抵抗性改善薬であるメトフォルミンは、インスリン非依存糖尿病の治療に使われてきましたが、最近、本剤をPCOSの患者さんに投与して血中インスリンを低下させ、卵巣や副腎での男性ホルモン(テストステロンなど)産生を抑制し、排卵を改善する試みが行われています。(「産婦人科治療」vol.90 no.2-2005/2より)


PCOSに排卵誘発剤を使用する場合、
いくつもの卵胞が同時に育つため卵巣過剰刺激症候群が起こりやすいので注意が必要だそうです。

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