色々あった帰り道

移植した帰り道、
電車のダイヤが乱れていました。
やっとの思い出に最寄り駅に到着。
外に出ると「あら?いつの間にこんなに降ったんだろう」
20cmくらい積もっていた。
駅前にはタクシーが一台もいなくなっていた。
家族の送迎する車だけがロータリーに止まっていた。

“長靴じゃないしイヤだなぁ〜”なんて思いながら駐車場へ向かう。
そういやぁ、電車の中でも 若い女の子がストッキングorタイツにショートブーツって子を何人も見掛けた。若いって大変だなぁ〜。観ているだけでも寒イボだった。


土曜日の15時。
駐車場へ向かう足跡は全くなく、横風の雪が視界を邪魔する。
新雪にズボっズボっと ただ無心で歩いていた。

車まで辿り着き ビックリ!
「なんじゃこりゃ!車、出せるのか!」
吹き溜まりみたいで、155cmの私の膝なんてスッポリ。車の上には40cmくらい雪が乗っている。
横から見て ようやく車体の色が少し見えた。確かに私の車の色。

軽自動車の扉は雪を掻きながら開いた。“開いたよ〜よかった♪”
エンジンを掛けた。
扉を閉めるとき、雪を掻き集めて車内に入れてしまうので まずは運転席付近の足場を固めた。
雪下ろしの棒は、いつも車に積んでいたので雪降ろしを始めた。


“よりによって胚盤胞移植した日に こんなに積もらなくてもいいんじゃないの!”って スッゴい思った。
天気予報では“吹雪マーク”じゃなかったし、こんなに降るって言ってなかったのに…。
オシャレ手袋は寒い。
帰ったら防寒用手袋を車に積もう!

帽子&マフラーしてフードを被れば上半身は完璧。
靴下は2重履き。
お腹と腰にカイロ貼っていたが 雪に埋まっているGパンがヒンヤリとし 湿気ってきた。足から体温を奪われているのがわかる。

せっかく移植したのに!
せっかく子宮内膜が厚くなるようにって、冷え性対策に漢方まで飲み始めたのに!寄りによって今日降らなくてもっと何度も思った。



ようやく雪を下ろしたが、進むのか?
アクセルを踏むと、「おっ!進んだ!」。
ハンドルが重くなっていて小回りはしないが、どうにか切り返しして ハマらずに駐車場を脱出できた♪


駐車場を出た。
車道も歩道もあったもんじゃない。
お婆さんが頑張って歩いていた。
私の車が近づいたことに気づき、本人なりに頑張って避けてくれているが 通れるかなぁ?
道の左右には雪の壁が出来ていて逃げ場もない。
お婆さんは、雪の壁に少し登ってくれ ようやく車は追い越せた。


前にも後ろにも このお婆さん以外 歩いている人は居ない。同じ電車に乗っていた人だろうっとすぐにわかった。
私が雪降ろしで戦っている間、このおばあさんは500mくらいしか進んでいない。
お迎えの車も来ないようだし、お婆さん家は近いのだろうか?遠いのだろうか?帰れるのか…この人?


本人(お婆さん)に尋ねた。
「大丈夫ですから、気になさらずに」っと言われ、尚 気になる。
「私は突き当たりを左に行きますが、お婆さんは右ですか?」っと聞くと「そう、右です」っと言う。
「突き当たりまでだって歩いたらイイ距離あるし、まあ、寒いし とりあえず乗っちゃってください」って乗せた。



結局、お婆さん家は2km以上あった。
膝の悪いお婆さんが荷物を持ち、この悪天候に歩いたら 何時間かかるのか?

車なら10分もかからない。今日は病院でも電車でも待たされっぱなしで、
帰りが10分程度遅くなったところで大したことない。
ほんの10分で優しい気持ちになれて良かった。
今日が“悲惨”な気持ちで終わらなくてヨカッタ。



そういえば、
電車の中で 向かいにいた黒タイツにショートブーツの若い子。“つけまつ毛”が片方だけ ベローンと反り返って 可笑しな顔になっていた。声をかけようかっと よぎったけど、言われたところで その子がすぐに直せるならいいけど、直せなかったらバツが悪いし。37才のおばさん(私)がツケマのボンドなんて持ち歩いてないしね。10分以上も目の前にいたけど見ないふりを極め込んだ。


人に声をかけるタイミングって難しいよ↓