生まれて2カ月までの乳児には与えてはいけない・・・ 『味の素』
“化学(科学)”という言葉に未来を明るくする響きがあった時代、
そんな
昭和三十年代に開発された化学調味料。
この化学調味料という名称は業界にも支持されて「日本化学調味料工業協会」という業界団体の名称にもなっていたのです。
ところが公害や薬害があいつぎ、化学(科学)のもつ危険性がわかってくるにつれ、化学調味料という言葉が業界の重荷になったのです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
味の素をはじめとする企業は
化学調味料を「うま味調味料」と言い換え、1985年には「日本うま味調味料協会」と改称し、食品の表示にも「調味料(アミノ酸)」と記載するようになったのです。
このために最大手の味の素は「麦からビ−ル・さとうきびから味の素」という、さも天然、自然であるかのようなキャンペーンを張って、化学調味料という言葉を抹殺するためにその努力を惜しまなかったのです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そしてもう一つ国際的な大間題がありました。
世界保健機関(WHO)の専門家委員会が出している報告書にグルタミン酸ナトリウム(化学調味料の主成分)の一日摂取許容量(ADI)が設定されていたのです。
特に生まれて二カ月までの乳児には与えてはいけないとなっていたのです。
これは味の素にとっては致命的なものでした。
しかし、WHOは企業の人間も委員になれるのです。
彼らの働きかけが実ったのでしょう。
WHOの報告書から
グルタミン酸ナトリウム(化学調味料の主成分)の一日摂取許容量(ADI)が消えました。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「味の素」の問題は、石油を原料とした化学合成法や発酵法という方法で大量生産・大量消費されるようになってから起こりました。
発酵法というのはデンプンや糖蜜などを原料に、細菌を用いて発酵液中にL−グルタミン酸を生成蓄積させ、これを分離し、水酸化ナトリウムで中和して得る方法です。
「味の素」は、培養液に炭素源としてさとうきびをしぼったあと 砂糖にならなかった廃糖蜜を使います。
デンプンなどを原料に使うよりのより1/3から1/4も安くなります。
これを「さとうきびから味の素」というキャンペーンに使ったのです。
ですから直接さとうきびから「味の素」を作っているのではありません。
またこれ以外に窒素源として尿素や雑菌を抑えるために抗生物質や界面活性剤などを加えて培養液を作っています。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ワシントン大学のジコン・W・オルニ−博士は、グルタミン酸ナトリウムを生まれて間もないネズミに飲ませると目の網膜に異常が起きるというルーカス博士たちの報告をもとにその原因を究明する研究をしていました。
この研究中にグルタミン酸ナトリウムを与えられたネズミが異常になっていることに気がついたのです。
原因はグルタミン酸ナトリウムのために脳下垂体という成長や性成熟に関係する重要な脳の器官がやられていたためだったのです。
これ以外にも肝臓や卵巣、子宮や副腎にも異常が認められたのです。
この異常はマウスの他にもラット、ウサギ、ニワトリ、アカゲザルなどでも確かめられました。
これら一連の実験はアメリカ人にグルタミン酸ナトリウムを拒否させることになりました。
こうしてアメリカでは、ベビ−フ−ドからグルタミン酸ナトリウムがなくなったのです。そして、味の素はアメリカに工場進出できませんでした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
最近では「味の素」そのものを自分で買う人をあまり見かけないのに、家庭向けが生産量の3割前後もあるのは姿を変えて登場した複合化学調味料や風味調味料、「○○風味」とか「○○だし」という名で売られている商品を買う人がたくさんいるということです。
複合化学調味料というのはうま味の相乗効果をねらって、グルタミン酸ナトリウムを主成分に、イノシン酸ナトリウムなどの食品添加物を合わせたものです。
また、風味調味料というのは、複合化学調味料にほんの少しのかつおやいりこ、昆布の抽出エキスを混ぜただけのものです。
しかし、経済的に豊かになり、世の中が本物志向になって、これまで安価な「味の素」や複合化学調味料を使っていた人もいろいろな材料からダシをとるようになっています。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
学校給食も「味の素は使わずにかつお節と煮干しでダシをとっています」というところが増えています。
こうして売れなくなった分は、
東南アジアに輪出、あるいは直接工場を作り、貧しい人たちに売り付けているのも問題です。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「味の素」や複合化学調味料をよく使うという家庭には、
「全般的にできあいのおかずもよく買う」
「食卓のおかずが足りないと文句が出る」
「新製品が出ると買って食べたくなる」という特徴があります。
逆に使っていないと答えた家庭には、
「だいたい三日分以上の食品を蓄えている」
「子どもたちに意識的に食べさせている食品がある」
「食品添加物に不安を感じる」などの特徴がみられました。
どうも、市販品の味に慣らされているかどうかで食生活が大きく変わるようです。
味覚という本能的な部分を商品化する場合、生命への謙虚さがないと大きなシッべ返しを受けることになるでしょう。